今は暇な妊婦の日記

お仕事お休み中で暇な妊婦の書きものです。

このケーキをあと何回食べられるだろうか

旦那の実家は誕生日に対する扱いが雑で、旦那自身も自分の誕生日に対するこだわりが薄い。そんなものだから、今年も誕生日当日に予約した誕生日ケーキを、一週間後に受け取りに向かった。プレゼントはちゃんと当日に渡せた。ちなみに私の誕生日も忘れ去られがちだが、遅れてもちゃんと祝ってはくれるので良しとしている。

この誕生日ケーキは注文する店が決まっている。隣町にある古い洋菓子店だ。店主は半引退状態で、注文しないと生ケーキは出てこない。店に常在しているのは日持ちするパウンドケーキと和菓子だ。店構えもお洒落とは言い難く、入り口は魚屋や肉屋でも使われていそうな汎用的ガラスの引き戸。奥に見えるガラスケースにケーキは無いので、看板が無ければ本当に何の店かわからない。まさに一見さんお断りのハードルの高い店だ。

この店に初めて来たのは、確かまだお付き合いしている時の旦那と二人で、だった。予約に行きたいというので付いて行ったのだ。受付のおばーちゃんが「あなたがうちの店のケーキ美味しいって言ってくれたおかげでね、今も贔屓してもらってるのよ!」と言い出して「なんのこっちゃ」と思ったが、そういえば付き合って初めての誕生日にロールケーキ一本をもらっていた。

その時はまだ実家住まいで、妹夫婦が遊びに来たため気を利かせて「ケーキ出す?」と母に聞いた。そうしたら「お土産!」と全て彼らに渡されてしまった。

そんな悲しい思い出の品なので、ずっと忘れていた。一切れ食べたのだったか、それとも「美味しかったよ」と嘘を付いたのか、そこも忘れてしまった。

その後、無事旦那と結婚した私は、毎年その店に伺うことになる。旦那誕生日とクリスマス、の2回だ。作っているのは還暦過ぎのおじいちゃんだそうで、注文を間違えられる事もあるが、美味しいので全く問題は無い。しっとりしたスポンジと、ちゃんと生クリームの味がするクリーム。挟む果物は時期によって変わるが、バランスが良くてケーキと喧嘩せず、美味しい。今回はチョコレートクリームを頼んだのでオレンジを挟んでもらった。

案の定「チョコレート」部分は忘れ去られ、白いフルーツショートケーキを受け取りながら(そろそろおじいさんヤバいのかも……)と勝手な心配をし、家でケーキを口に運びながら、あと何回このケーキを食べられるのかな、と思う。それが恒例行事となりつつある、旦那の誕生日パーティー。

(クリスマスは最初から生クリームを注文するので間違えられない)